オバマ大統領の施政方針演説〈要旨〉
オバマ米大統領の施政方針演説の要旨は次の通り。
我々はこれまで、目先の利益がしばしば長期的な繁栄よりも重んじられ、次の支払日や次の四半期、次の選挙の先を見ない時代に生きてきた。黒字は未来に対 する投資の機会ではなく、富める者に富を移転する口実になってしまった。手軽に利潤を得るために規制は骨抜きにされ、健全な市場は犠牲になった。
人々は返す余裕がないのを知りながら、不良貸し出しと分かって売り込んでくる銀行や貸金業者から金を借りて家を買った。この間、必要な議論や困難な決断は常に先送りされてきた。
つけを清算する日が来た。我々の未来に対する責任を取る時だ。
経済を復活させるだけでなく、継続する繁栄の新たな基礎を築くためにも今こそ、大胆かつ賢明に行動する時だ。財政赤字抑制という厳しい選択をしつつも、今こそ雇用創出を活発にし、融資を再開させ、経済成長につながるエネルギーや医療制度、教育などの分野に投資する時だ。
景気対策と金融安定化の計画は、短期間で経済を回復させるための手段だが、米国経済を完全に回復させるための唯一の方法は、長期的な投資によって新しい雇用、産業をうみだし、他国との競争力をつけることだ。
私は数日後に議会に予算を提出する。こうした文書はこれまで紙に書かれた単なる数字、あるいは計画の細かなリストと見なされることが多かった。私の見方は違う。米国のためのビジョン、我々の未来への青写真だと考える。
私の予算はあらゆる問題を解決したり、あらゆる課題に対応したりすることを目指したものではない。それは我々が引き継いだ厳しい現実の反映だ。1兆ドルの財政赤字であり、金融危機であり、損害のかさむ景気後退である。
こうした現実からすれば、民主党員であれ、共和党員であれ、この部屋にいるすべての人が、予算がないためにいくつかの価値ある優先課題を犠牲にしなければならない。
だがそれは、長期にわたる挑戦をないがしろにすることを意味しない。
我々の計画では、今後3年間で再生可能エネルギーの供給を倍増させる。 我々はもはや医療制度改革を棚上げにしている余裕はない。
私は昨日、財政規律サミットを開き、最初の任期を終えるまでに財政赤字を半減させることを誓った。無駄で非効率な歳出を排除するため、我が政権では連邦 予算の中身について一つ一つ点検してきた。これはいくぶん時間がかかるが、我々は決意を持ってそれに取り組み始めた。すでに10年間にわたり2兆ドル(約 192兆円)の節約項目を見いだした。
今予算で我々は、機能しない教育プログラムや、支援を必要としない大規模農業ビジネスへの直接支出をやめる。我々はイラクで数億ドルを無駄にして きた未入札契約を排除し、使ってもいない冷戦時代の武器システムに対する出費をしないように国防予算を見直す。高齢者の健康向上に役立たない高齢者医療保 険制度での浪費、詐欺、悪用を根絶するとともに、雇用を海外に移している企業への減税をやめ、税体系に公正さとバランス感覚を取り戻す。
今予算は10年先を見据えたもので、これまでの規則では本予算に入っていなかった支出も勘定に入れる。イラクやアフガニスタンでの紛争費用も初めて含めることになる。
我々は今、これら二つの戦争に関する政策を注意深く見直している。まもなく、私はイラクをイラク国民の手にゆだね、この戦争を責任ある形で終結する方法を発表することになろう。
我々は、友邦や同盟国と共に、アフガニスタンやパキスタンでアルカイダや過激主義者を打倒するための新しくかつ包括的な戦略を練ることになる。
我々は新たな関与の時代が始まったことを、世界に言葉と行動で示している。米国一国では今世紀の脅威には対処できず、世界も米国抜きでは対処できないのだ。
今夜ここに座っているすべての人が国を愛し、米国の成功を願っていることも知っている。そのことこそがこれから数カ月で行われるすべての議論の出発点であり、議論の後で立ち返る点となる。
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