2009年1月15日木曜日

asahi science industry biology glass plant

希少植物、ガラス容器で手軽に栽培 福井大教授ら商品化

2009年1月15日7時51分

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写真拡大商品化した「マイクロフローラ」=前田教授提供

写真マイクロフローラの花を育てる前田桝夫教授=福井市文京3丁目

 福井大学教育地域科学部の前田桝夫(ますお)教授(62)=植物細胞学=が中心となって、産学連携で新しい形の観賞用植物「マイクロフローラ」を商品化した。研究に使っていた密閉・無菌培養技術を転用して、日本には生息しない花などを手入れ無しで育てられるのが売りだ。

 直径8センチほどの球体のガラス容器の中で、養分や水分を含んだ培地から植物が育つ。土を使わず無菌状態を維持できるので病院でも観賞できるという。坂井市三国町の種苗生産会社「苗屋」で昨年から販売している。

 開発を思い立ったのは00年、同大付属養護学校の校長の時。同校の卒業生らの就職がうまくいかない様子を見て、「彼らの仕事を作ることはできないだろうか」と考えた。販売が軌道に乗れば、製造工程を手伝ってもらうつもりだ。

 密閉・無菌培養技術は、もともとシダやイネなどの生殖現象や生育などを比較研究するために使っていた。ガラス容器の中だと、外気の温度や湿度の影響を受けにくいためだ。それでも商品化するまでには、うまく咲く花がなかなか見つからず、300種類以上を試した。

 3年前に完成した商品化第1号は日本の湿気には適していない中南米のラン「シグモルキス」や絶滅危惧(きぐ)種「越前大文字草」。前田教授は「今後も高山植物など、育てにくい花を入れて付加価値を高めていきたい」と話している。(西山明宏)



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