「ガリレオの望遠鏡」発売へ 天文科学館学芸員監修
ガリレオ望遠鏡のレプリカ製作を監修した井上毅さん。手に持つのはかつて作られたレプリカ=明石市立天文科学館
兵庫県明石市立天文科学館学芸員の井上毅さん(40)が製作に携わったガリレオ・ガリレイの望遠鏡のレプリカ(複製)が、3月中旬から販売されることに なった。今年はガリレオが望遠鏡で天体観測を始めて400年。井上さんは「ガリレオが感じた驚きを追体験してみてはどうですか」と話している。
同館によると、イタリアの天文学者だったガリレオは1609年に一晩で作った望遠鏡で観測を開始。月のクレーターや金星の満ち欠け、太陽の黒点、 木星の4衛星(ガリレオ衛星)などを発見した。ガリレオは100本以上の望遠鏡を作ったが、現存するのはイタリアのフィレンツェ科学史博物館の2本だけ だ。
ユネスコなどはガリレオの天体観測から400年を迎えた09年を「世界天文年2009」と提唱し、これに合わせて世界天文年2009日本委員会が 大小計60本のレプリカ製作を決定。同委メンバーでもある井上さんが監修し、鏡筒部分を京都市の文化財複製製作会社「京都科学」、レンズをガリレオ望遠鏡 研究家の秋山晋一さんがそれぞれ手がけることになった。
ガリレオの望遠鏡は、接眼レンズが現在の主流とは逆の凹型になっているのが特徴。視野が狭いという短所はあるものの、観測対象がシャープに見える ように凸型の対物レンズに絞りを付けるなどの工夫が施されている。レプリカは過去にも作られ、同科学館にも大小2本が所蔵されている。しかし、60本とい うまとまった数が作られるのは初めてだ。
井上さんによると、国内の陸地では46年ぶりとなる皆既日食が7月22日に観測でき、県内では太陽の約8割が欠けて見える。8月と9月には土星の輪が消えたように見えるという。
井上さんは「土星の輪は太陽に近すぎて観測できないが、天体望遠鏡を使えば春ごろまで輪が消えかかっている様子が見えます」。レプリカについては 「性能は市販の望遠鏡に及ばないが、視野が狭い望遠鏡を使って天体の動きを手探り状態で追いかけたガリレオの気分になれるかも」と話す。
レプリカは大サイズが17万7千円、小サイズが17万4千円。天体関連商品を扱う「アストロアーツ」(03.5790.0873)が販売する。(清野貴幸)
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