2009年1月20日火曜日

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最古の「字(あざ)」書かれた全国初の木簡出土 岩手

2009年1月20日22時9分

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 水田の無断耕作を禁じる立て札に使ったとみられる10世紀の木簡が、岩手県奥州市前沢区の道上(どうのうえ)遺跡から出土した、と岩手県文化振興事業団 埋蔵文化財センターが20日発表した。地名に付く「字(あざ)」が書かれたものとしては国内最古の木簡で、古代に西日本と同様の土地支配が東北地方でも行 われていたことが分かり、条里制の存在も推定されるという。兵庫県の袴狭(はかざ)遺跡に次ぐ全国2遺跡3例目の「禁制木簡」でもある。

 木簡は珍しい棒状で、長さ約46センチ、直径約4センチ。07年8月に発掘され、解読・保存作業が行われてきた。滑らかに削られた表面に、漢文体で40字以上の文字が6行書かれている。出土状況や理化学分析から、10世紀のものであることが分かった。

 同センターの発表では、本文は「禁制田参段之事」(三段=約30アールの水田に関する禁止事項)で始まり、その後に「字垂楊(たれやなぎ)池」と水田の所在地名が続いている。

 腐食で後半は読み取れない文字が多いが、解読の結果、文面は「農民の公子廣守丸(きみこのひろもりまろ)が京都の貴族に寄進した字垂楊池の水田を 無断で耕作することを禁止する」という意味だと推定された。同センターは「東北地方の農民が当時、水田を介して中央の貴族と関係があったことを示す貴重な 資料」としている。

 解読作業をした奥州市の石崎高臣・文化財専門員は「考えられていたよりも早い時期に、西日本と同じ土地支配のあり方が東北にも到達していたことを表しており、同様の木簡が今後も出土する可能性がある」と話した。



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