2009年1月22日木曜日

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「歴史の瞬間、この目で」 就任式会場に市民続々

2009年1月21日0時51分

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写真20日早朝、オバマ氏の大統領就任式が行われるワシントンの連邦議会議事堂の近くに詰めかけた人たち=AP

 【ワシントン=勝田敏彦、星野眞三雄】無数の笑顔や喜びの涙が、オバマ新大統領の就任式典会場となるワシントンの連邦議事堂を望む緑地帯「モール」にこ ぼれる。就任の様子を少しでも近くで見届けようと、夜明け前から大勢が集った。パレードが通るペンシルベニア通り沿いでは手荷物検査所に長い列ができた。

 「オバマ氏はすべての人を元気づける力がある」。車で30分ほどのところに住むアフリカ系(黒人)男性の公務員レイモンド・クーパーさんは話す。団体職 員のアジニー・ハイディーさん(48)は「経済は厳しく、二つの戦争を抱える。今こそみなが団結しなければ」。オバマ氏の団結の呼びかけが心に響く。

 ふだんは自由に出入りできるモールの周囲はフェンスで囲われ、市民に開放されたのは午前4時。記念撮影をしたり、歓声をあげたりする人の姿が目立つ。野外コンサートのような盛り上がりだ。

 同じ時刻に動き始めた地下鉄の最寄り駅からは次々に人波が吐き出され、議事堂に向かって白い息を吐きながら進む。オバマ氏の合言葉、「イエス・ウィ・キャン(我々にはできる)」と叫びながら、止まったエスカレーターを上っていく人たちもいた。

 黒人女性の養護教諭、タニヤ・カーターさん(34)は前日のマーティン・ルーサー・キング牧師記念日にもモールにやってきた。7歳と6歳の2人の 息子を連れ、会場近くを歩いた。かつてない人出が予想された20日に連れてくるのは難しい。「歴史の一部だけでも子どもたちに感じてもらいたかった」と話 した。

 カーターさんにはオバマ氏の大統領就任は「堅実な目標を持ってさえいれば、この国は機会を与えてくれることを示した」と映る。子どもたちにもそのメッセージが伝わって欲しい、と思っている。

 ペンシルベニア大学法科大学院の学生、ケイティ・ローニーさん(24)は友人と4人でフィラデルフィアからやってきた。大統領選時はちょうど中国に留学 中だった。昨年10月の大リーグの地元球団、フィリーズの28年ぶりのワールドシリーズ優勝も見逃した。「今度こそ歴史の瞬間に立ち会いたい」

 大学からは学生らがバス4台を仕立てて就任式に向かったという。「オバマ氏はこれまでの大統領とまったく違う。米国の再生をもたらしてくれると思う。過去8年間に傷ついた国際関係の修復も期待したい」と語った。

 「オバマ氏は人種や性を超えて私たちを一つにしてくれた。世界が米国を見る目もこれで変わる」。午前4時、パレード参観者のための手荷物検査所の一つに一番乗りしたテネシー州の黒人女性の会計士、デニス・ジョンソンさん(40)はそう話した。

 ブッシュ政権への怒りを訴える人もいた。バージニア州の教師リサ・ペトリーさん(48)は連邦捜査局(FBI)ビルの前で「ブッシュを逮捕せよ」 と書いたカードを掲げた。米軍のキューバ・グアンタナモ対テロ戦収容所などでの収容者虐待問題をあげて「オバマ氏にはブッシュ氏を取り調べる特別捜査官を 任命してもらいたい」と求めた。

 街には人出をあてこみ、午前5時ごろからポスターやバッジなど「オバマ・グッズ」を並べ始める露天商も目立ち始めた。コーヒー店なども早朝から開店。暖を取ろうとする人たちでにぎわっていた。



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