2009年1月21日水曜日

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オバマ大統領就任演説全文〈3〉

2009年1月21日9時22分

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 先人たちがファシズムと共産主義を屈服させたのは、ミサイルや戦車によってだけではなく、頼もしい同盟国と強固な信念によってでもあることを思い起こし てほしい。彼らは自らの力だけが自分たちを守ったのではないことも、その力が、自分たちが好きなように振る舞う資格を与えたのでもないことを理解してい た。

 その代わりに先人たちは、自らの力は慎重に使うことで増大し、自らの安全は、大義の正しさ、模範を示す力、謙虚さと自制心から生まれると知っていた。

 私たちはその遺産の継承者だ。いま一度こうした原理に導かれることにより、私たちはより厳しい努力、つまり、より強固な国際的協力と理解を必要とする新たな脅威にも立ち向かうことができる。

 私たちは、責任ある形でイラクをその国民の手に委ねる過程を開始し、アフガニスタンの平和構築を始める。また古くからの友好国とかつての敵対国とともに、核の脅威を減らし、地球温暖化の恐れを巻き戻す不断の努力を行う。

 私たちは、私たちの生き方を曲げることはなく、それを守ることに迷いもしない。自分たちの目的を進めるためにテロを引き起こし、罪のない人々を虐 殺しようとする者に対し、私たちは言おう。いま私たちの精神は一層強固であり、くじけることはない。先に倒れるのは君たちだ。私たちは君たちを打ち負か す。

 なぜなら、私たちの多様性という遺産は、強みであり、弱点ではないからだ。私たちの国はキリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒、ヒンドゥー教徒、そして無宗教者からなる国家だ。世界のあらゆる所から集められたすべての言語と文化に形作られたのが私たちだ。

 私たちは、南北戦争と人種隔離という苦い経験をし、その暗い歴史の一章から、より強く、より結束した形で抜け出した。それがゆえに、我々は信じる。古い 憎悪はいつか過ぎ去ることを。種族的な境界は間もなく消え去ることを。世界がより小さくなるにつれて、共通の人間性が姿を現すことを。そして、アメリカ は、新たな平和の時代を導く役割を果たさなければならないことを。

 イスラム世界に対して、私たちは、共通の利益と相互の尊敬に基づき、新たな道を模索する。紛争の種をまき、自分の社会の問題を西洋のせいにする国々の指導者に対しては、国民は、破壊するものではなく、築き上げるものであなたたちを判断することを知るべきだと言いたい。

 腐敗と謀略、反対者の抑圧によって権力にしがみついている者たちは、歴史の誤った側にいることに気づくべきだ。そして、握りしめたそのこぶしを開くのなら、私たちが手をさしのべることを知るべきだ。

 貧しい国の人々に対しては、農場を豊かにし、清潔な水が流れるようにし、飢えた体と心をいやすためにあなた方とともに働くことを約束する。

 そして、米国同様に比較的豊かな国には、私たちはもはや国外の苦難に無関心でいることは許されないし、また影響を考えずに世界の資源を消費することも許されない、と言わなければならない。世界が変わったのだから、それに伴って私たちも変わらなければならない。

 私たちの目の前に伸びる道を考えるとき、つつましい感謝の気持ちとともに、いまこの瞬間にもはるかな砂漠や山々をパトロールしている勇敢な米軍人たちのことを思い起こす。

アーリントン国立墓地に眠る戦死した英雄たちの、時代を超えたささやきと同じように、彼らには、私たちに語りたいことがあるはずだ。私たちが彼らに 敬意を表するのは、彼らが私たちの自由の守護者だからというだけでなく、彼らが奉仕の精神の体現者、つまり自分自身より大切なものに意味を見いだそうとし ているからだ。そして今、一つの時代が形作られようとしている今、私たちすべてが抱かなければならないのがこの精神だ。

 なぜなら、政府はできること、しなければならないことをするにせよ、この国が依存するのは、究極的には米国人の信頼と決意であるからだ。最も難し い局面を乗り切るのは、堤防が決壊した時に見知らぬ人を招き入れる親切心であり、友人が仕事を失うのを傍観するよりは自分の就業時間を削減する労働者の無 私の心だ。煙が充満した階段に突っ込んでいく消防士の勇気、子どもを育てる親の献身の気持ちが、私たちの運命を最終的に決める。



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