2009年1月22日木曜日

asahi international government USA president Obama remarks

オバマ氏演説に「チェンジ」「夢」がなかった理由(1/2ページ)

2009年1月22日1時42分

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 【ワシントン=梅原季哉】オバマ米大統領は20日の就任演説で、候補者としての決め言葉だった「チェンジ(変革)」という言葉を封印していた。代わりに合衆国憲法に象徴される、法の支配や人権といった建国の理想への回帰と、苦難の下での責任や義務をもっぱら訴えた。

 大向こうから喝采を集めるような言葉は控え、冷静に、米国が置かれた危機の現状や過去の歴史、今後のあるべき姿を指摘する姿勢が目立った。アフリカ系 (黒人)として初の大統領就任という歴史的な機会については、ケニア出身で、60年足らず前なら人種隔離政策の下、レストランで客扱いすらされなかった父 親を持つ自分が大統領になったことの意味を感慨深げに語った。だが話を広げることはせず、人種問題を超越していく姿勢をうかがわせた。

 演説上手とされるオバマ氏だけに、事前の報道では、歴史に残るような名文句が飛び出すのではという期待もあった。だがオバマ氏自身は、実際に治政に責任を負うようになった立場として、祝意よりも決意を示すべきだ、との考えがあったとみられる。

 使った語句を見ても、故キング牧師の演説を想起させそうな「夢」という言葉は登場せず、「希望」と「理想」も3回ずつだった。それでも、「新し い」が11回、「世代」が8回、「精神(スピリット)」が5回と、理想とするビジョンは丁寧に語った。「アメリカ」以外に地名として言及されたのは過去の 激戦場とイラク・アフガニスタンだけ。戦時の政権発足という様相が浮き彫りになった。

 国際テロ組織アルカイダなどイスラム過激派を、名指しこそ避けたが「負かす」と宣言したのも、「最高司令官」としての決意を示すねらいからとみら れる。一方、イランなどを示すとみられる反米独裁国家に対しては、誤った側にいると指摘しつつ、かたくなな姿勢を改めれば対話もあり得るとの方針に、オバ マ外交の特色がうかがえた。



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