2009年1月16日金曜日

asahi science biology protein plague cancer medicine

最大のたんぱく質の構造解明 感染症・がん新薬に期待

2009年1月16日10時19分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真構造が分かった巨大たんぱく質のイメージ図=兵庫県立大提供

 兵庫県立大、大阪大のグループは、生物の細胞内で最大のたんぱく質「ボルト」の構造を大型放射光施設スプリング8(兵庫県佐用町)で解明した。ボルトは 細菌に対する免疫や、抗がん剤が効かなくなる仕組みに関係しており、治療薬の開発に応用が期待される。16日付の米科学誌サイエンスで発表した。

 ボルトは1986年にネズミの肝臓から発見されたラグビーボール形の輪郭をもつたんぱく質。脊椎(せきつい)動物などの細胞内にある。分子量は一 般的なたんぱく質の100〜1千倍ほどにあたる約1千万で、知られている細胞内のたんぱく質としては最大で、詳しい形はなぞだった。

 兵庫県立大の月原冨武特任教授らは、スプリング8の非常に強いX線を1分間あてることで構造を解明した。ひも状の分子が上下39本ずつ計78本寄り集まり、つるを編み込んだ籐籠(とうかご)のような形になっていた。

 ボルトは、人間が緑膿菌(りょくのうきん)に感染したとき、体内の免疫が菌を殺すのを助ける。また、複数の抗がん剤が効かない多剤耐性のがん細胞 は、ボルトの部品であるひも状分子を大量につくることが知られている。今回、構造が特定されたことで、ボルトの機能の研究が進み、感染症やがんの治療効果 を高める薬の開発に結びつくと期待されるという。(鍛治信太郎



0 件のコメント: