2009年1月24日土曜日

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極楽往生の願いくっきり 平等院の仏後壁画、詳細判明

2009年1月24日7時16分

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写真仏後壁画には、高貴な人が身につける赤い「冕冠(べんかん)」をかぶった男性らが描かれていた。釈迦の元へ供養に訪れた様子という=平等院提供

写真拡大近赤外線カメラの撮影で、釈迦の元を訪れる人々の行列(左向きの男性ら)の周囲から下書きの線が浮かんだ=平等院提供

写真平等院鳳凰堂の本尊・阿弥陀如来坐像の背後にあるのが仏後壁画=京都府宇治市の平等院

 平等院鳳凰(ほうおう)堂(京都府宇治市)の本尊・阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)の背後にある仏後壁画に、成仏を主題にしたインドの仏教説話 が描かれていたと、平等院が23日発表した。表面は劣化が激しく、近赤外線カメラなどを使用して詳細な図柄がわかったことから判断した。極楽往生を願い、 1053年に鳳凰堂を建てた藤原頼通の指示で制作された可能性があるという。

 鳳凰堂にある扉絵や壁画計14面は1972年に一括して国宝指定されたが、仏後壁画(縦3.4メートル、横3.7メートル)は本尊に近接し、詳細 に調査されていなかった。03〜07年度の大修理で本尊を一時移転した際、平等院と東京文化財研究所が詳しく調査。近赤外線カメラなどの特殊カメラで撮 影、分析した結果、釈迦がインドの王子らに成仏を予言する内容の仏教説話「阿闍世(あじゃせ)太子授記」の場面とみられることがわかったという。

 銀箔(ぎんぱく)を何枚も重ねて長さ8ミリの花びらを表現するなど高い技術が使われていた。華やかな舞楽などの描写に、赤色の辰砂(しんしゃ) (硫化水銀)や緑色の亜鉛など当時の絵には珍しい顔料も使われていた。平等院は24日から、鳳凰堂の拝観者に写真や照明を使って壁画について説明する。

 仏教絵画に詳しい有賀祥隆・東京芸術大客員教授は「頼通は、権力や財力を持った人も極楽往生できるとの説話を画題に選び、王子の姿に自らを投影したのではないか」と指摘している。(樋口彩子)



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