2009年7月28日火曜日

asahi shohyo 書評

ムンダネウム [著]ル・コルビュジエ、ポール・オトレ

[掲載]2009年7月26日

  原書は1928年刊。近代建築の巨匠ル・コルビュジエが20年代後半に参画した幻の世界都市「ムンダネウム」計画とその理念を伝える希少な本だ。スイスの ジュネーブに意図されたムンダネウムをコルビュジエは「思惟(しい)の発信源」、依頼者で国際主義者のオトレは「人々を世界市民として受け入れる」と提 唱。第1次大戦の惨禍に学んだ国際連盟をふまえ、国際団体、世界美術館、世界図書館、世界大学、世界研究所の5機関からなる「知の一大拠点」をめざした。 構想や巨大建造物の図面などからは、政治ではなく文化による「平和と進歩」という願いが見える。

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 山名善之ほか訳

表紙画像

ムンダネウム

著者:ル・コルビュジェ・ポール・オトレ

出版社:筑摩書房   価格:¥ 2,625

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