顔識別、サルもできる 人と同じ能力、京大霊長類研発表
最初に見せた普通のサルの顔写真=足立幾磨さん提供
目と口を逆転させた顔写真=足立幾磨さん提供
サルが人と同じように目、鼻、口のバランスをみて顔を瞬時に識別していることが、京都大霊長類研究所の足立幾磨・特定助教らの研究で分かった。人はサル と約3千万年前に共通の祖先から分かれており、人は少なくともこの時点で他人の顔を識別できる能力を獲得していた可能性があるという。
人は目、鼻、口の全体のバランスの違いから、他人の顔を識別している。このため、目と口の部分だけ天地を逆転させた顔写真を見せられると、その違いにすぐ気づく。一方で、写真そのものを逆さまにして顔全体を逆転させると、その変化に気づきにくくなることが知られている。
足立さんらはアカゲザルの雄4匹を使い、同じように違いを認識できるか実験した。この4匹に他のサルの顔写真を10回、繰り返し見せると、最後は写真に興味を示さなくなり、約3秒しか写真を見なくなった。
その後、同じ写真の正面と逆さまの写真、目と口だけを逆転させた顔写真などを順番に見せ、サルの反応を観察した。すると、目と口だけを逆転させた 写真を見せた時は、写真に再び興味を示し、他の写真より約2倍長い約6秒間、見続けた。一方で、顔全体を逆転させた写真では、興味を示さなかった。注視時 間が長いのは、人と同じように写真の変化に気づいたためと考えられるという。
この結果は、米科学誌カレント・バイオロジー(電子版)に発表した。
足立さんは「人とサルの共通祖先が、群れ社会で生活をする中で、こうした能力を獲得したのではないか」と分析している。(長崎緑子)
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