2009年7月6日月曜日

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海の道伝えた青 国内最古のイスラム陶器、奈良で出土

2009年7月4日7時59分

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写真:西大寺旧境内から出土した青緑上薬を塗った陶器=3日午後、奈良市大安寺西の市埋蔵文化財調査センター、荒元忠彦撮影西大寺旧境内から出土した青緑上薬を塗った陶器=3日午後、奈良市大安寺西の市埋蔵文化財調査センター、荒元忠彦撮影

写真:イスラム陶器と同じ層から出土した木簡=3日午後、奈良市の市埋蔵文化財調査センター、荒元忠彦撮影イスラム陶器と同じ層から出土した木簡=3日午後、奈良市の市埋蔵文化財調査センター、荒元忠彦撮影

図:  

 平城京跡(奈良市)の一角にある西大寺旧境内で、イスラム陶器の破片19点が出土した。市埋蔵文化財調査センターが3日、発表した。8世紀後半の壺(つ ぼ)の一部で、これまでのイスラム陶器の国内発見例を約1世紀さかのぼる。香料などの容器として海上交易に使われたとみられ、「海のシルクロード」が奈良 時代から利用されていたことを示す貴重な資料という。

 破片は緑がかった青色で、最大縦7センチ、横11.8センチ。高さ50センチ以上の大壺だったとみられる。光沢のある上薬が表面と内側に塗られ、 波形の文様があった。これらの特徴からイスラム陶器と断定。近くで「神護景雲二年」(768年)と記した木簡も見つかり年代も特定できた。

 イスラム陶器は、現在のイラクにあったイスラム帝国のアッバース朝(750〜1258年)で香料の容器などとして製造された。国内では鴻臚館(こうろかん)跡(福岡市中央区)や大宰府跡(福岡県太宰府市)で9世紀後半〜10世紀の陶器破片が出土していた。

 佐々木達夫・金沢大教授(東西文化交流史)は「『海のシルクロード』の東アジア側の終点の一つが奈良であることを具体的に示す資料として価値が高い」としている。

 出土陶器は6〜31日に奈良市大安寺西2丁目の市埋蔵文化財調査センター、8月10〜31日に奈良市役所で公開される。(土居新平)




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