2009年7月15日水曜日

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南北日本のメダカ、見た目より遠縁 1800万年前分岐

2009年7月15日16時32分

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写真:北日本のメダカ(新潟・佐渡産)=神奈川県立生命の星・地球博物館学芸員の瀬能宏さん撮影北日本のメダカ(新潟・佐渡産)=神奈川県立生命の星・地球博物館学芸員の瀬能宏さん撮影

写真:南日本のメダカ(沖縄産)=神奈川県立生命の星・地球博物館学芸員の瀬能宏さん撮影南日本のメダカ(沖縄産)=神奈川県立生命の星・地球博物館学芸員の瀬能宏さん撮影

 北日本と南日本のメダカが共通の祖先から枝分かれした時期は、これまで考えられていたよりもずっと古い約1800万年前——。東京大海洋研究所と千葉県 立中央博物館のチームが最新の遺伝子解析で、そんな結果をまとめた。日本の生物相の成り立ちを探る上で貴重な成果という。

 北日本のメダカは青森県から京都府にかけての日本海側を中心に分布。南日本のメダカは本州の太平洋側や中国、四国、九州地方などにすむ。

 外見はウロコの色やヒレの形などがやや異なるものの、よく似ていて、分類学上は同じ種とされる。しかし、遺伝子の違いは大きく、塩基配列は約3%異なっている。人とチンパンジーの違いの約1%より大きな隔たりだ。

 チームは南北それぞれのメダカのミトコンドリアDNAを詳しく調べ、最新の方法で共通の祖先から分かれた時期を算出。その結果、400万〜470 万年前とする従来の見積もりよりずっと古いことがわかった。人とチンパンジーが枝分かれした時期(500万〜600万年前)に比べても3倍ほど古い。

 新たに判明した分岐の時期は、日本列島の形成にともなう地理的な分断が、メダカの集団を南北に分けたことを強く示しているという。

 チームの馬渕浩司・東京大助教(魚類系統学)は「姿がよく似ているからといって、北日本のメダカを南日本に放流するといったことは、遺伝子の交雑につながるので絶対に避けるべきだ」と話す。

 日本のメダカは環境省のレッドリストも「北日本集団」と「南日本集団」に分けたうえで、それぞれを絶滅危惧(きぐ)2類に指定している。(山本智之)




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