2009年7月3日金曜日

asahi shohyo 書評

ザナドゥーへの道 [著]中野美代子

[掲載]2009年6月28日

  「ザナドゥー Xanadu」はフビライ・ハーンが建設した夏の都の英語誤記で、転じて西洋人の領土拡張の夢を絡めた東方の「地上の楽園」を示すという。 本書はそんな異国の地を舞台に、波乱に富む人生を体験した西洋人12人の時空を超えた12編の物語。例えば「異教徒たちの帝国」では十字軍を率いてイスラ ム教徒と闘うフランス王ルイ9世がモンゴル帝国に援助を求めて派遣したというフランシスコ会の修道士ギョーム・ド・ルブルクが登場。13世紀の同帝国内の 異教徒同士の論争など、興味深い話が紹介される。著者は西遊記研究などで知られる中国文学者で作家。

表紙画像

ザナドゥーへの道

著者:中野 美代子

出版社:青土社   価格:¥ 1,995

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