有害物質吸収の「紙おむつ」できるかも 九大が材料開発
2007年05月02日06時05分
紙おむつなどに使われる吸収材が水を大量に吸収するように、油性の液体を大量に吸収するゼリー状の新材料を九州大の佐田和己准教授(超分子化学)らが開 発した。従来の材料は水や親水性の液体しか吸収できなかった。新材料は、流出した有害物質の回収などへの応用が期待される。
有機溶媒を吸い膨張したゲル=佐田准教授提供 |
有機溶媒を吸う前の高分子電解質ゲル(方眼は2ミリ角)=佐田准教授提供 |
成果は英科学誌ネイチャー・マテリアルズ(電子版)に発表された。
紙おむつなどの吸収材は高分子電解質ゲルと呼ばれ、自重の数百倍から数千倍もの水を吸収し膨らむ。内部のイオンが分子の編み目を広げるとともに、浸透圧で外側にある水を取り込んでいる。
しかし、工場などで原料を溶かしたり機器の洗浄に使ったりする有機溶媒は、電気的な性質が水よりも油に近いため、従来のゲルでは吸収されなかった。
そこで佐田さんらは、吸収材のイオンを親油性のものに置き換えた新たな高分子電解質ゲルを作った。すると洗浄剤などに使われるジクロロメタンを自重の480倍も吸うなど、複数の有機溶媒を多量に吸い取ることが確認できた。
有機溶媒は土壌や大気に流出すると環境汚染を引き起こす。佐田さんは「親油性の物質を吸収する材料も、作れることを示せた。有害汚染物質や油、廃油の吸収材などに応用が広がれば」といっている。
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