2008年6月7日土曜日

asahi shohyo 書評

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世界じゅうの子どもたち—いろいろな幸せのかたち [著]ベアトリクス・シュニッペンケッター

[掲載]2008年05月30日夕刊

■子どもたちの日常から読む各国の事情

 著者は世界の子どもたちを対象に、同じ質問を投げかけた。交通や情報網の発達で世界は狭くなったといわれるが、子どもたちの回答からは、まさに生の現実が浮かび上がる。子どもに限らず、85カ国の人々の日常生活が見えてくる。

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 「自分の中でかえたいところは?」という問いかけに、レバノンの少年は「ぼくの中の悪いものをみん な、いいものにかえたい」と答える。同じ質問に、「白人になりたい」と答えたのは、西アフリカの貧国ギニアビサウの少年である。ネパールの少女は、「宝箱 にしまっておきたいものは?」と聞かれて、「宝箱がどういうものかわからない」と言う。その一方で、世界中の子どもたちを熱中させているものもある。30 年以上も内戦が続いたアンゴラでは、町の子どもはヒップホップに夢中なのだそうだ。ポケモンやプレイステーション、ゲームボーイといった日本のアニメや ゲームも国境を超えて愛されていることもわかる。

 ちなみに日本の少年の「いちばんのねがいごとは?」は、「自分のすきなようにつくった、自分の部屋がほしい」。日本という国の紹介文を読むと、日 本人にとって当たり前のことが世界的には奇異と感じられていることに驚くだろう。小さなカルチャーショックがたくさん詰まったノンフィクションだ。

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 池上彰序文/清水紀子訳

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世界じゅうの子どもたち—いろいろな幸せのかたち
著者:ベアトリクス・シュニッペンケッター・清水 紀子
出版社:主婦の友社
価格:¥ 1,470

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