2008年6月24日火曜日

asahi shohyo 書評

刺青とヌードの美術史 [著]宮下規久朗

[掲載]2008年6月22日

  雑誌のグラビアに、街角の彫刻にあふれるヌードは、もとは西洋から移入されたものだ。江戸以前の日本は平気で裸体をさらす「裸の楽園」で、裸体はあえて凝 視・鑑賞する対象ではなかった。ところが、外国人の目を気にした明治政府が裸体禁止令を出す一方、西欧のヌード絵画が流入する。芸術としての理念を理解し ないまま模倣が広まり、裸体の風習や刺青(いれずみ)という固有の芸術は廃れ……。ヌードを通して日本人のまなざしと美意識の変化をあぶり出し、好奇心を 刺激される。

表紙画像

刺青とヌードの美術史—江戸から近代へ

著者:宮下 規久朗

出版社:日本放送出版協会   価格:¥ 1,019

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