2008年6月30日月曜日

asahi international ethnic group Roma Italy

ロマ人全住民の指紋採取、伊政府方針 人権団体は猛反発

2008年6月30日10時30分

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 【ローマ=喜田尚】イタリアのベルルスコーニ政権は、治安強化のための移民規制の一環として、ロマ人が集団で住むキャンプの人口調査をして住民全員の指 紋を採取することを決めた。数カ月以内に実施する方針。人権団体は「特定民族からだけ採取するのは明らかな差別だ」と激しく批判している。

 イタリアでは昨年10月にローマで女性がロマ人男性に強姦(ごうかん)されて死亡する事件が起きて移民問題が関心を呼び、4月の総選挙で中道右派が圧勝する要因になった。

 強硬な移民規制を唱える北部同盟のマロニ内相は、約16万人とされる国内のロマ人の総数について「実際より10万人少ない」と多数の不法滞在者がいるとの見方を示し、ロマ人キャンプの調査・指紋採取の方針を明らかにした。

 イタリアに住むロマ人には90年代に戦火を逃れてバルカン半島から来た人が多く、16万人の4割近くはすでにイタリア国籍を取得。それ以外も多く はルーマニアなど滞在許可取得にも指紋押捺(おうなつ)がいらない欧州連合(EU)域内からの移民だ。野党民主党は「指紋採取は(EUが禁止する)民族登 録にほかならない」(ビンディ前家族政策相)と猛反発している。

 特に波紋を呼んでいるのが子供からの指紋採取だ。内相は「劣悪な環境の子供を保護し、物ごいなどの現象を防ぐためだ」とするが、イタリアのユニセフ協会は「子どもの権利条約に定められた差別を受けない権利を無視すべきではない」との声明を出した。

 ロマ人は欧州で「ジプシー」などと呼ばれ、いまも差別が残る。ベルルスコーニ政権は5月にさまざまな移民規制と治安対策を打ち出したが、その際も子どもに物ごいをさせる大人を刑事罰に問う法改正を掲げ、「ロマ人への差別感情を助長している」と批判された。



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