クメール遺跡の世界遺産登録にタイ同意 領有権争いの地
カンボジア政府が世界遺産登録に備えて配置したプレアビヒア遺跡事務所のスタッフら=柴田写す
タイ政府は17日、カンボジアがユネスコに申請していたタイ国境のクメール遺跡、プレアビヒア(タイ名=カオ・プラビーハン)寺院の世界遺産登録に同意 することを決めた。遺跡はカンボジアに帰属するが、周辺の領有権は争われてきた。今回は登録を遺跡に限り、領有権問題と切り離すことでタイ側が了解した。
石畳の参道や急な石段を上り、標高約650メートルの山頂の本殿にたどり着くと、壮大なクメール平原が見渡せる。参道入り口の商店街や境内にいる職員、 物売りこそカンボジア人だが、周囲はタイ領。カンボジア側の道は階段が崩れていたり、周囲がかつての地雷原だったりして、タイ領を通らないと参観は難し い。
遺跡を観光資源として売りこみたいカンボジア政府は去年6月、単独で登録申請。タイ側が不快感を示したこともあってユネスコはタイ側との協議を求 め、カンボジア政府は1月、登録地域を遺跡に限定して再申請していた。来月開催のユネスコの委員会で登録されるかどうか決まる。
一方、タイ側の地元シーサケット県では「遺跡はタイのものだ」と主張する住民集会が連続して開かれ、18日にはバンコクでも反政府系の市民約3千人が政府の決定に抗議して集会を開いた。(プレアビヒア〈カンボジア北部〉=柴田直治)
0 件のコメント:
コメントを投稿