2008年6月7日土曜日

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聖武天皇の薬、中国モノ? 正倉院宝物はクルミ科の樹皮

2008年06月06日06時00分

 聖武天皇の愛用の生薬は中国・揚子江以南から伝来か——。奈良・正倉院に8世紀から伝わる宝物で、これまで原料の植物がわかっていなかった生薬の一つ が、中国・揚子江以南に分布するクルミ科植物の樹皮であることが28日、東京大の柴田承二名誉教授(薬学)らの研究で明らかになった。

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中国・揚子江以南から伝来したとみられる正倉院宝物の生薬「厚朴」=「正倉院紀要」第30号から

 宮内庁正倉院事務所が同日に発表した「正倉院紀要」第30号で報告した。

 正倉院に2束(計1700グラム)が残っている「厚朴(こうぼく)」と呼ばれる生薬で、整腸やせき止め薬などに配合される。国内ではモクレン科の ホオノキの樹皮が主に使われている。中国や日本各地から集めた植物を解剖し比較した結果、厚朴の組織構造が、揚子江以南で主に分布するクルミ科植物と同じ であることが判明した。

 正倉院に伝わる薬物は、聖武天皇が亡くなった756年に光明皇后によって東大寺に献納された天皇愛用の薬が中心。「種々薬帳(しゅじゅやくちょう)」という60種の献納目録(リスト)があり、厚朴もその一つとして記されている。(石原孝)




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