日本の歴史上の人物はどんな業績を残したか。小学校6年生では卑弥呼や外国人の正答率が9割を超えた一方、幕末〜明治に活躍した政治家は軒並み5割以下 だったことが、国立教育政策研究所が27日公表した調査結果で分かった。研究所は「近現代史では登場人物が増え、特徴的なエピソードを教えるのが難しくな る。特に明治以降は工夫が必要だ」と分析している。
この調査は社会科の理解度を調べるのが目的で、07年1〜2月、全国の小6生6665人と中3生9394人を対象に実施された。
小学校の学習指導要領に明記された42人の業績を示し、どの人物なのかを選ばせる問題では、「邪馬台国の女王になった」卑弥呼が正答率トップ。以 下、「キリスト教を伝えた」ザビエル、「黒船で来航した」ペリー、「黄熱病の研究」の野口英世、「水墨画を完成させた」雪舟と続く。
正答率ワースト3は、「新政府の中心になった」大久保利通、木戸孝允(桂小五郎)、「国会開設にそなえ政党をつくった」大隈重信で、いずれも幕 末〜明治の政治家。互いに混同する誤答が目立った。この時代で正答率が高いのは、政治家より米国人のペリーや文化人の福沢諭吉の方だった。
中3では、六つの選択肢を選ばせる形で7人の認知度を調べた。伊藤博文の正答率は66%と小6より25ポイントほど良かったが、歌川広重は61%で小6より10ポイント以上低かった。
調査では、47都道府県を把握しているかも調べた。地図上の位置から名前を選ぶ小6の質問では、北海道99.9%、沖縄96.4%、青森93.8%がベスト3。ワースト3は、島根39.9%、徳島40.2%、福井41.4%だった。
人物年表を作ったり、白地図を使ったりして丁寧に教えられた子は正答率が上がる傾向にあった。同研究所は「ただし、重点化をはかると、手薄になる部分が出る。両立させることが課題」と話している。(中井大助)