芸術の春 アート鑑賞に出かける前の一冊
[掲載]2009年3月22日
- [評者]浜田奈美
春到来。各地で大型美術展も「宴たけなわ」だ。春も秋に劣らずアート鑑賞にいい季節。お出かけ前に、"芸術の春"を深める本を一読してはどうだろう。
エッセイストの堀井和子の『みてまわる日々』は、多くのにわかアートファンに勇気をくれる。国内外の美術展にせっせと出かけ、 心に残った作品をさらさらとスケッチし、先々で出会う美味や風景をデジカメ撮影。美術館やギャラリーといった心地よい空間で出会う作品群から「いろいろな 刺激に心が動き始める」感覚を、素直に伝えてくれる。
『恋する西洋美術史』は、数々の名作から「恋愛」を読み解こうとする。見る人に「静かに」と言わんばかりに口に指をあてた キューピッドの彫像が意味するものは。ポンペイ遺跡の壁画には、なぜ夫婦の性交場面があからさまに描かれているのか。読み進むにつれ、かつては芸術作品が 「メディア」そのものでもあったことに気づかされる。
ところで、日本の美術展の入場者数歴代1位が四半世紀も不動であることをご存じだろうか。東京国立博物館が74年に開いた「モ ナ・リザ展」の約151万人。同館は07年にもダビンチ展で80万人近くを集め、日本人の「ダビンチ好き」を立証した。『レオナルド・ダ・ヴィンチの生 涯』は、英国人ノンフィクション作家による渾身(こんしん)の伝記。650ページを超える大作にもかかわらず読みやすく、美術史を詳しく知らずともダビン チの生涯に引き込まれ、十分に熟知できる一冊だ。
06年のヒット映画「ダ・ヴィンチ・コード」では美術史的なエピソードが物議をかもしたが、『ミケランジェロの暗号』は、彫刻 家ミケランジェロがシスティーナ礼拝堂の天井画に描いた「メッセージ」を、2人の著者が独特の観点から大胆に読み解いた。120点に及ぶ図版も美しい。
- みてまわる日々—LES JOURS AVEC UN CAHIER DE DESSIN
著者:堀井 和子
出版社:幻冬舎 価格:¥ 1,575
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- 恋する西洋美術史 (光文社新書 384)
著者:池上英洋
出版社:光文社 価格:¥ 924
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- レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯 飛翔する精神の軌跡
著者:チャールズ ニコル
出版社:白水社 価格:¥ 8,610
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- ミケランジェロの暗号—システィーナ礼拝堂に隠された禁断のメッセージ
著者:ベンジャミン ブレック・ロイ ドリナー・Benjamin Blech・Roy Doliner
出版社:早川書房 価格:¥ 3,150
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- ダ・ヴィンチ・コード(上) (角川文庫)
著者:ダン・ブラウン
出版社:角川書店 価格:¥ 580
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- ダ・ヴィンチ・コード(中) (角川文庫)
著者:ダン・ブラウン
出版社:角川書店 価格:¥ 580
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- ダ・ヴィンチ・コード(下) (角川文庫)
著者:ダン・ブラウン
出版社:角川書店 価格:¥ 580
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