縄文の川魚取る仕掛け、木の実の調理場出土 奈良・橿原
くいが円状に並んで出土した定置漁具「えり」の遺構(中央)=奈良県橿原市
今夜の食事は川魚に木の実に……。縄文人の食の様子がわかる遺構が奈良県橿原市で見つかり、市教委が2月27日発表した。出土したのは「えり」と呼ばれる川魚を取るための仕掛けや、木の実の調理場。市教委によると、縄文時代の「えり」の発見は全国で少なくとも3例ある。
京奈和自動車道予定地から、約2800年前の縄文時代晩期中ごろの川の跡(幅6〜13メートル)が見つかった。川床に34本のくい(長さ17〜80セン チ、直径2〜6センチ)が、直径約1.8メートルの円状でほぼ等間隔に並んでいた。保存状態は良かった。一部が内側に入り込んでおり、フナやアユなどの小 魚を誘い込む定置漁具「えり」と判断した。えりは現在でも琵琶湖などで続く伝統的な漁法として知られる。
また、約10メートル南側の同時代の別の川跡(幅6〜7メートル)からはコの字形の木枠(縦1.1メートル、横1.4メートル)が見つかった。中 や周辺にはドングリとトチの実があった。木の実はそのままでは渋くて食べられないため、水に浸してアクを抜いた場所だったと考えられる。
泉拓良(たくら)・京都大大学院教授(考古学)は「縄文晩期の人々の食料の採取、加工の様子がこれだけリアルにわかる例は珍しい」と話している。(渡義人)
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