「早稲田と私」歌で振り返る 佐佐木幸綱さん最終講義
2009年3月7日
3月で早稲田大学を定年退職する佐佐木幸綱政経学部教授(70)がこのほど最終講義を行い、25年来、教壇では伏せてきた歌人の顔を見せた。日本文学を教えてきたが、「今日はお許しいただいて」と、学生時代から数えれば50年に及ぶ"早稲田と私"を歌で振り返った。
サキサキとセロリ噛みいてあどけなき汝を愛する理由はいらず 入学は59年。翌年、早稲田短歌会に入会した。しかし「どうも歌に本気になれない、自信もなかった」ころの作品だ。のちに教科書にものり有名になった清新な恋歌。
二日酔いの眼閉じても開きても人満ちている早稲田大学 非常勤講師を経て、助教授に。教師である自分の早稲田歌を試行した。「どうもうまくできない。これが、まあまあと思ってる唯一の歌」
90年、同大教員組合委員長に。今日もまた組合の飯を二食喰ってふとれるならん一キロがほど
92年、在外研究員としてオランダ・ライデン大学に。家族とともに渡航、暮らした。オランダ語霧と流るる中の椅子旅人としてわれら家族に
「いろんな学生がいた。中には不思議な学生も」。研究室にたずね来たりてただ黙り、黙り続ける学生に困る
朝顔に最初の花を待つこころ 十三人のゼミの教室 「これは定年を意識したころの歌。学生への期待をこめた。教師ってそういうものですよね」
「いい教師だったかどうか、自分ではわからないが、私にとり教室とは実演の場だった。しくじりも含め私の実演が学生諸君の参考になってほしい、という気持ちで教壇にたつことができた25年を本当にありがたいと思う」(河合真帆)
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