2009年3月28日土曜日

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シロアリの女王、後継ぎは「分身」 王とは交配せず

2009年3月28日8時16分

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 日本各地にすむヤマトシロアリの女王は、後継ぎとなる女王を産む時は、王とは交配せずに自分の遺伝子だけで「分身」を作っていることが、岡山大学大学院 の松浦健二准教授(社会生物学)らの調査で分かった。自らの「分身」を作ることで、王との近親交配を防いでいた。27日付米科学誌サイエンス電子版で発表 した。

 ヤマトシロアリは、5月ごろ巣を飛び立ち、一対の雌雄が新たな巣を作って初代の王と女王になる。王も女王も寿命は10年以上と長く、巣の内部で近親交配を繰り返して増殖していると推定されていた。

 松浦准教授らは10年かけて千カ所以上の巣を掘り、約50カ所で巣の中枢部分を採集。ほぼすべての巣で、王は初代だったのに対し、女王は数十匹の 後継に代替わりしていた。そこで、後継ぎ女王を調べると、いずれも王の遺伝子を持っておらず、後継ぎ女王が王と交配して、働きアリを産んでも近親交配には ならないことがわかった。後継ぎ女王を産む時は、卵子が成熟する過程で分裂する「極体」と卵子を融合させ、「単為生殖」をしていた。 

 松浦准教授は「遺伝的には巨大な不老不死の女王が存在するのと同じ。(単為生殖と交配による生殖を使い分けることは)非常に効率が良く、生き物として究極の遺伝システム」と話す。(上田真美)



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