2009年3月12日木曜日

asahi science biology kanikuizaru university Kyoto

歯の掃除はこうするのよ 母ザルの教育、霊長類研が撮影

2009年3月12日17時34分

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写真:髪を手にもち、子どもと目を合わせる=京大霊長研・正高信男教授提供髪を手にもち、子どもと目を合わせる=京大霊長研・正高信男教授提供

 カニクイザルの母親が、人の髪の毛を使って歯を掃除し、大げさなしぐさで子ザルに教えているようだ——。こんなサルの行動の撮影に、京都大霊長類研究所 の正高信男教授らが成功した。親が子に道具の使い方を教えているとすれば、動物では初めての確認になるという。10日付米科学誌プロスワンに発表した。

 正高さんらは08年、タイの寺院にすむ野生カニクイザルの群れを調べた。この群れのサルは、女性の長い髪の毛を拾うと、両端をもって口に入れては 引き抜く動作を繰り返す。「デンタルフロス」のように使い、歯の間にはさまった食物を除き、掃除をしているとみられる。約10年前に見つかったこの群れ独 特の行動だ。

 1歳程度の子をもつ母ザル7匹に髪を与えて観察すると、子ザルの前では、大げさな動作で歯を掃除することがわかった。子ザルがいる時といない時に 各50回、ビデオ撮影をすると、子ザルが前にいると目を合わせながら、毛をカチカチと平均6回かみ、掃除1回あたり3秒かけた。一方、子ザルがいないと、 3回しかかまず、1秒で終えた。さらに、子ザルがいると髪の毛を1.5回、口から出したが、いないと0.7回しか出さなかった。

 チンパンジーなど道具を使う動物はいるが、子供は、見よう見まねで自発的に学習すると考えられ、親が教える行動は観察されないという。

 正高さんは「今後は、母ザルの行動が子ザルの注意をひいて学習の効率をあげているかどうかを調べたい」と話している。(長崎緑子)



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