2009年3月20日金曜日

asahi education NHK kyoiku kokokoza kiso

NHK高校講座、小学レベルから 学び直し、集中放送へ

2009年3月19日15時3分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

 1960年の放送開始以来、高校生の自宅学習や通信制高校の教材に利用されてきたNHK教育テレビの「高校講座」。その番組でこの4月、初めて義務教育 の学習内容が放送される。小学校中学年レベルから用意し、「学び直し」に使ってもらいたいという。「ゆとり」路線以来指摘されている学力低下に加え、勉強 に意欲が持てない生徒は増えており、おなじみの老舗(しにせ)番組も実情を踏まえて「決断」した。

 「ベーシック10」と銘打ち、通常の教科ごとの講座とは別に、4月6〜17日の平日、午後3時から集中放送する。国語、数学、英語を1日10分ずつ。ステップ1〜10まで難易度は日々上がり、最終的には「三平方の定理」(数学)といった中学レベルまで到達する仕組みだ。

 「『少ない』『短かい』『危ない』。間違った送りがなはどれ」

 「100グラムと5.5キログラムを足すと何グラム」

 「黒 赤 黄色 英語で言ってみよう」

 講座序盤にはこんな基礎的な問題が出てくる。コミカルでカラフルなアニメのキャラクターやラップによる陽気なBGMを使い、飽きさせないように工夫した。

 番組スタッフが参考にしたのが、千葉県立姉崎高校(市原市)の取り組みだ。同校は04年度から、「マルチベーシック」と名付けた学校独自の科目を 設けている。「課題校」と呼ばれ、中退者の多さに苦慮していた同校。入学時の学力が高校水準に達していない生徒が大勢いた。アルファベットの書き取りや分 数の計算など、小学生レベルからのプリント学習をほぼ毎日続けさせた。

 立ち上げに中心的にかかわり、「ベーシック10」でも監修を務める松本隆夫教諭(48)=現・県立木更津高校=は「まずは鉛筆を持たせることから 始めた」という。「分からないままにしておくと授業が成立せず、学校生活も荒れてしまう。易しい問題からレベルを上げて意欲を持たせることが必要です」

 文部科学省によると、高校進学率は97.8%(08年度)とほぼ「義務教育化」している一方、中退者数は7万2854人(07年度)と多数にのぼる。不登校も5万人を超えるが、勉強につまずき、意欲がもてなくなるケースも多いとされる。

 番組は、放送後もパソコンのネット上で無料で見られる予定。将来的には、高校生により身近な携帯電話で視聴できるようにしたいという。(宮本茂頼)



0 件のコメント: