キトラ壁画、現地での保存「困難」 文化庁検討会WG
奈良県明日香村の特別史跡、キトラ古墳(7世紀末〜8世紀初め)からはぎ取られた四神などの極彩色壁画について、文化庁が設けた古墳壁画保存活用検討会 の作業部会の保存技術ワーキンググループ(座長=石崎武志・東京文化財研究所保存修復科学センター長)は29日、「現在の技術では古墳内へ戻すのは難し い」とする意見で一致した。
この意見を基に8月4日に検討会を開き最終的に方針を決めるが、壁画は今後、古墳外で保存される可能性が強まった。
検討会は08年に設置。作業部会では、将来的な保存管理の場所・方法や公開の是非、修理の方針などを検討。保存管理については「古墳現地に張り戻して保存管理」と「当面の間、古墳外の適切な施設で保存管理」の2案について検討を進めてきた。
この日の作業部会の会合では、委員から「墳丘本体に博物館環境を維持できる保存施設を造るのは不可能」「できないことを議論するより、現実的な対応をした方がいい」などの意見が出され、壁画を古墳に戻すことは技術的に難しいとの考えで一致した。
キトラ古墳では04年8月から、カビなどによる劣化の進行を防ぐため「青竜(せいりゅう)」「白虎(びゃっこ)」「玄武(げんぶ)」「朱雀(すざ く)」の四神や十二支像などのはぎ取りが始まり、昨年11月に終了した。今回の方針は、高松塚古墳(明日香村、特別史跡)の解体された石室に描かれ、修復 中の「飛鳥美人」などの国宝壁画の保存・管理方法にも影響を与えそうだ。(渡義人)
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