2009年8月12日水曜日

asahi society international life food fishery tuna kuromaguro

クロマグロ、ジュゴンと同等? 欧州で広がる取引禁止論

2009年8月12日1時57分

印刷印刷用画面を開く

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真:国内で陸揚げされるクロマグロ。国際取引を禁止しようという動きが出ている=6月、鳥取県境港市国内で陸揚げされるクロマグロ。国際取引を禁止しようという動きが出ている=6月、鳥取県境港市

 高級マグロとして知られる大西洋クロマグロ(本マグロ)を、野生生物を保護するワシントン条約に加え、国際取引を全面的に禁止しようという動きが欧州を中心に広がり始めた。実現すれば、世界で漁獲されるクロマグロの8割を消費する日本に大きな影響が出そうだ。

 ワシントン条約には、絶滅する恐れがあるとして商取引を禁じる「付属書1(シーラカンス、ジュゴンなど)」と、必ずしも絶滅の恐れはないが商取引を厳重 に規制する「付属書2(ジンベエザメなど)」がある。10年3月に開かれる同条約締約国会議で、モナコが大西洋クロマグロを「付属書1」に加える提案をす ることを目指している。

 なぜ、マグロ漁獲国でないモナコがこうした動きをするのか。背景には、マグロ保護を求める世界自然保護基金(WWF)の要請があるとの見方が多い。

 昨年11月の「大西洋まぐろ類保存国際委員会」(ICCAT)では、専門家らによる科学統計委員会が乱獲を理由に、07年に3万2千トンだった漁 獲量を1万5千トン以下にするよう勧告した。だが、漁場を抱えるスペイン、フランスなどが抵抗。10年の漁獲枠は1万9950トン、11年は1万8500 トンとされた。こうした動きに、WWFなどが反発を強めていたのだ。

 ワシントン条約締結国は現在175カ国。提案は会議参加国の3分の2以上の賛成で可決される。モナコ案はドイツ、イギリス、オランダに加え、フランスも支持する模様。各国内でマグロ保護への機運が高まり規制支持が力を得ているようだ。米国も同様の方向で検討中という。

 日本政府は条約にクロマグロを加えるのには反対の立場だ。漁業対象資源とした上で「国際機関で適切に管理して資源回復に努めるのが基本」と主張 し、今年11月のICCATでも、科学統計委員会に従い漁獲枠を減らすように提案する方針だ。日本のクロマグロ消費は08年で4.3万トン。モナコ案が通 ると大西洋から日本に来ている2万トン分が消えるが、科学統計委案なら減り方は小さい。

 水産庁によると、スペイン、クロアチア、北アフリカ諸国なども全面規制には反対とみられ、「予断は許さないが、ICCATで資源保護への配慮が示されれば、過度な規制強化は避けられるのではないか」としている。(安川嘉泰)




0 件のコメント: