2009年8月29日土曜日

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国会図書館、ネットで開放 まず地方図書館での閲覧実験

2009年8月29日15時0分

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 国立国会図書館の蔵書を地方の図書館でも瞬時に閲覧できるようにする実験が9月から始まることが、28日決まった。国会図書館の蔵書をめぐってはネット経由で一般利用者に有料公開する構想もあるが、こちらは閲覧場所を館内に限る代わりに無料を維持するのがミソだ。

 今回は司書間の実験で、利用者の閲覧が可能になる時期は未定だが、出版社や著作権者からは「ますます本が売れなくなる」と反発の声も上がっている。

 この実験は、大阪市のソフトウエア開発会社「マウス」や京都高度技術研究所とともに国会図書館が共同で進める。京都市中央、秋田県立、京都府立、岡山県 立の各図書館に、国会図書館がデジタル化した蔵書や50年以上前のSPレコードをネット配信する予定。実用化されれば、利用者は、各館内のパソコンで読ん だり聴いたりできる。来年3月まで、有料でネット公開する構想の前段階と位置づけ、総務省の地域活性化事業として実施される。

 現在も国会図書館は都道府県立、市町村立、大学図書館などに蔵書を郵送で貸し出している。公共図書館内で利用者は無料で見ることができ、学術書や 写真集などを中心に年間1万7千点にのぼる。しかし、現物だと傷みが避けられず、手間も時間もかかるため、ネット閲覧が模索されてきた。

 今回の実験で、国会図書館側は専用サーバーなどに4千万円かけるが、地方の図書館は、ブロードバンド(高速大容量通信)とつながっていれば、さほど費用がかからない。実用化段階では、配信先を大学や市町村レベルの図書館にも広げる計画だ。

 ただ、本の情報をデジタル化したことで、コピーが無制限に出回りかねない。さらに難問なのが、著作権者の許諾だ。そこで、昨年度から著作権団体や図書館関係者らで協議会をつくり検討を進めている。

 これに対し、日本書籍出版協会の樋口清一事務局長は「図書館でのネット閲覧が広がれば、本の購入が減る恐れがある」と懸念を示す。日本文芸家協会 の三田誠広副理事長も「図書館の購入で成り立ってきた少部数の本が出版されなくなり、出版文化が崩壊しかねない。有料化なら検討の余地はあるが、無料配信 は断固反対」と言っている。(編集委員・川本裕司)




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