社説:きょう審判 未来を選択する1票に
いよいよ第45回衆院選の投票日がやってきた。夜には大勢が判明する。
解散日から40日間、憲法規定ギリギリいっぱいの実に長い選挙戦だった。初の本格的なマニフェスト選挙として、各党の政策についての比較検討は十 分できただろうか。自民党が「責任力」を強調すれば、民主党が「政権交代」で応酬、少子高齢化対策、年金制度改革、農業政策、高速道路料金、雇用対策、日 米関係などいくつかの重要政策で対立点が明確になった。公明、共産、社民、国民新党、みんなの党などからもそれぞれの公約が発表された。
後は、我々有権者が彼らの政策発信をどう受け止め、どう判断し、どういう1票を行使するかに移る。「イエス」も「ノー」もすべて我々次第である。より多くの民意の受け皿となった政党が政権を獲得し、マニフェストに沿って政策を実施することになる。
今日本が置かれた環境は、なかなか厳しいものがある。高度成長を誇ってきた経済は、新興国の台頭や地球環境問題で大きな壁にぶち当たっている。皆 保険を誇ってきた医療・年金制度も少子高齢化の予想外の進展に持続可能性が問われている。年間3万人を超える自殺者、3人に1人が派遣労働者という雇用格 差、シャッター街や限界集落に代表される地方の疲弊……。政治が解決すべき課題は枚挙にいとまがないほどだ。
選挙というのは、有権者が政治に力を与える場である。民意を吹き込まれた政治はそれだけでパワーアップし、長年解決できなかった困難な課題や利害調整の複雑な問題に堂々と取り組むことができる。その環境を自分たちが幸せになるために作り出そうではないか。
この1票の価値をどう見るか。試みに一つの計算をしてみる。あくまでも概算である。国の予算(一般会計)約80兆円を有権者約1億人で割った約 80万円。有権者1人当たりの年間負担(=受益)額である。選管から送られてきた投票券の価格とは言えないか。80万円の未来を決めるチケットを使わない のはあまりにももったいない。
特に、若者に言いたい。前回2005年選挙の世代別投票率を見ると、20代が最も低く46.20%で、最も高い60代の83.08%と格段の差が ついた。これでいいのだろうか。団塊の世代が自分たちを守るべく投票行為に熱心なのは当然として、雇用や将来不安を抱える若者こそ、自分たちの世代利益を 代弁する政党や候補者をより多く国会に送り込む必要があるのではないか。
4年ぶりに訪れた未来を選択する大事業である。ぜひ参加して、悔いなき1票を投じてほしい。
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