クロマグロ:国際取引の禁止を ワシントン条約提案へ

大西洋(地中海を含む)クロマグロを、絶滅の恐れがある野生生物を保護するワシントン条約の対象に加え、国際取引を全面的に禁止する動きが浮上し ている。2010年3月13〜25日にカタールの首都ドーハで開かれる同条約締約国会議に向けモナコが提案し、英仏独、オランダなど欧州諸国が賛意を示し ている。日本は年間約4万トンのクロマグロ消費量のほぼ半分を大西洋産に頼っている。取引が禁止されれば、品薄や値上がりなどの影響は必至だ。
クロマグロは乱獲により資源状態が悪化している。特に、大西洋クロマグロの状況は深刻とされ、専門家の間では漁獲量の大幅削減などを求める声が強 まっている。これを受けモナコは7月、ウミガメやジュゴンなどと同じ「絶滅の恐れがある種」に分類して取引を原則禁止する案を関係国に提示した。8月中に 各国の回答を取りまとめ、賛否の状況を見て同条約の事務局に提出する。提出された場合、締約国会議で3分の2以上が賛成すれば可決される。
取引が禁止されれば、日本は大西洋クロマグロを輸入できなくなるほか、日本の遠洋漁船が大西洋でクロマグロを取ることもできなくなる。農林水産省 の井出道雄事務次官は10日の定例会見で「(クロマグロは)商業的漁獲の対象種で、ICCAT(大西洋マグロ類保存国際委員会)という地域漁業管理機関で 管理すべきだ」と述べ、ワシントン条約による規制には反対する姿勢を示した。【行友弥】
【ことば】クロマグロ
マグロ類の最高級種で「ホンマグロ」とも呼ばれる。水産庁の推計では、08年に国内で供給されたマグロ類約41万1000トンのうち約4万 3000トンがクロマグロ。「高級マグロ」とされるのは、他にミナミマグロ(インドマグロ)で約1万トン。消費量が多く「大衆マグロ」と呼ばれるのは▽メ バチ(約15万9000トン)▽キハダ(約14万トン)▽ビンナガ(約5万8000トン)の3種。
毎日新聞 2009年8月10日 21時06分(最終更新 8月11日 9時07分)
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