「宗教家、裁判員候補者辞退を」 国内カトリックが見解
裁判員制度への対応を協議していた日本カトリック司教協議会が18日、司祭や修道者らが裁判員候補者に選ばれた場合には、辞退を希望するよう促す公式見 解をまとめた。仮に裁判員に選任されたときには、罰にあたる「過料」(10万円以下)を支払ってでも参加しないことを勧めている。
カトリックの信徒は国内に約45万人で、そのうち司教や司祭、修道者らは約7600人いる。全国16教区の司教で構成する日本カトリック司教協議 会は、国家権力の行使にかかわる公職に司教・司祭が就くのを教会法が禁じていることや、教理で死刑制度に否定的な立場を取っていることなどを踏まえた対応 を協議してきた。
開催中の司教総会で18日にまとめた公式見解では、司教・司祭や修道者らについては、裁判所から候補者に届く質問票に辞退希望を明記する▽辞退し ても選任された場合は過料を払って不参加とする——ことを勧める、と明記した。ローマ法王庁からも、裁判員になることは教会法に抵触する可能性が高いとす る非公式見解を得ているという。
一方で、一般の信徒については「それぞれの良心に従って対応すべきである」として一律の方針を示さなかった。ただし、死刑判決に関与するかもしれないなどの理由から「良心的に拒否したい」という信徒に向けて「その立場を尊重します」との表現を見解に盛り込んだ。
裁判員制度をめぐっては、死刑反対を表明する仏教の宗派でも慎重な見解が出ている。門徒550万人を抱える真宗大谷派僧侶も今月9日の宗議会で、 裁判員制度の見直しを求める決議を可決。決議で「門徒が裁判員としてかかわったとき、自らは死刑の判断をしなくても、死刑判決にかかわってしまったという 心の傷が一生自らを苦しめる」などとしている。(市川美亜子)
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