2009年6月1日月曜日

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「体内時計、いま何時?」 理研チーム、測定法を開発

2009年5月30日19時33分

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 血液中の微量な物質を利用して体内時計の「時刻」を測る方法を、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)のチームが開発した。マウスでは 1時間程度の誤差で測定でき、「時差ボケ」の診断にも成功した。睡眠障害の診断法の開発などに役立ちそうだ。米科学アカデミー紀要で発表する。

 人間やマウスは脳に約24時間周期の体内時計があり、実際の時刻と合わせ、体温やホルモン分泌を調節している。

 同センターの上田泰己チームリーダーらは、血液に含まれる微量のアミノ酸や脂肪酸のほか代謝物質の濃度が、体内時計に合わせて周期的に変わることに着目。マウスの約300種の代謝物の変動を調べ、体内時計の時刻表のようなプログラムをつくった。

 このプログラムで規則正しく生活させたマウスの体内時計を測ると、実際の時刻との誤差は1時間以内に収まり、体内時計の時刻をほぼ正確に測れることが検証できた。

 さらに8時間の時差を人工的につくったマウスの体内時計を測ると、1日目は時差を生じさせる前と同じ時刻を示し、「時差ボケ」になっていることを確認した。時差ボケは、5日目では4時間半に縮まったが、完全に治ったのは2週間後だった。

 現在の体内時計の測定法では、神経伝達物質を数時間ごとに1日かけて測る必要がある。上田さんは「体内時計の異常で起きる病気を簡単に診断できる方法の開発を目指したい」と話す。(行方史郎)



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