2009年6月24日水曜日

asahi shohyo 書評

「文学」の精神分析 [著]斎藤環

[掲載]2009年6月21日

  精神科医であり、文学、美術、サブカルチャーと広範囲にわたり評論活動を続ける筆者の、単行本未収録の作家論17編を収録した。「われわれの視線は、一種 独特の偏りを帯びてしまいがちではないだろうか」と率直に問題提起を試みる宮沢賢治論。文体こそが「症状」であり病理の構造は文体に宿るはずだが、「三島 は症状すらも演じきることが可能」と切り込む「三島由紀夫論」。99年から09年までの間に様々な媒体に書かれたものだが、どの作家論にも著者の「ひとつ ひとつの作品は、作家という宇宙空間に漂う島宇宙」との一貫した姿勢が読み取れる。

表紙画像

「文学」の精神分析

著者:斎藤 環

出版社:河出書房新社   価格:¥ 1,890

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