1万4000年前の獣骨など発見 新石垣空港の予定地
新石垣空港の建設地。中央部近くの海側に向いた斜面にC1洞の入り口があると説明する山内さん=沖縄県石垣市
沖縄県・石垣島で建設が進む新石垣空港の予定地内の洞窟(どうくつ)で昨春、約1万4千年前のものと推定されるイノシシの骨が発見されていたことがわ かった。そばで複数の人骨も見つかり、県から委託された専門家が詳しい発掘調査をするよう提言してきた。県職員だけによる調査で済ませていた県は文化庁か らの指導を受け、再調査に向けて動き出した。構想から30余年という新空港の建設を急ぐ県の拙速ぶりが問われそうだ。
県に詳しい調査を求めてきたのは元日本洞窟学会副会長でNPO法人沖縄鍾乳洞協会の山内平三郎理事長(61)。
山内さんは昨年5月、通称「C1洞」内で化石を含む堆積(たいせき)層を発見し、イノシシの骨と5点の人骨も出てきた。イノシシの骨は加速器質量分析法(AMS)を使った放射性炭素年代測定で約1万4千年前のものと推定される。
イノシシと人の骨が同じ年代かどうかは不明だが、山内さんは過去の人々の生活の痕跡が見つかれば文化財保護法の対象になる可能性があると判断し、県に現場の保存と再調査を求めた。
県文化課は昨年8月末から約3週間、県埋蔵文化財センターの職員に洞窟内部の発掘調査をさせた。化石層の現場を見た職員はいないが、山内さんらの立ち会いはなかった。文化課は「目に見えたものは出てこなかった。埋蔵文化財としての遺跡という判断は難しい」と結論づけた。
ところが、昨年5月の調査で現場に入った愛知教育大の研究者によると、ネズミなど哺乳(ほにゅう)類の歯だけで1100点以上が確認されている。 魚の化石も数個見つかっており、「古代人がここに住み、魚を持ち込んだのではないか」とみる山内さんは改めて県に専門家を加えた再調査を求めている。
文化庁も「丁寧な対応をした方がいい」と県の担当者に伝えた。県文化課の大城慧課長は「愛知教育大のメンバーなどに立ち会ってもらってやれないか、打診している」と話している。
山内さんは「県は遺跡ではないという前提のもとに新空港の工事の便宜を図ったように思える」と批判している。(論説委員・大矢雅弘)
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