2009年6月24日水曜日

asahi shohyo 書評

サガン—疾走する生 [著]マリー=ドミニク・ルリエーヴル

[掲載]2009年6月14日

  18歳で鮮烈な文壇デビューを飾り、戦後フランスの象徴となったフランソワーズ・サガン。本著によれば、ブルジョア育ちの知性とボーイッシュな容姿、そし てその才能とで注目を浴びた彼女の人生の実際は、「フィッツジェラルドの小説から抜け出してきたような」ものだった。周囲の支援なしには生きられず、薬物 依存で、元大統領のような著名人とも渡り合いながら純粋さゆえに悪党たちに利用されて借金を抱え、すべてを失う。臨終まぢかに苦痛を訴えるサガンに世話係 の女性が優しく答えた言葉は、本質的で、どこまでも切ない。

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 永田千奈訳

表紙画像

フィガロブックス サガン 疾走する生 (FIGARO BOOKS)

著者:マリー=ドミニク・ルリエーヴル

出版社:阪急コミュニケーションズ   価格:¥ 2,100

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