2008年7月23日水曜日

kumanichi science chemistry chemicals Suizenji-Nori

2008年7月23日 06:53
熊本日日新聞 くまにちコムのTopへ戻る
スイゼンジノリから吸水力高い新物質
 北陸先端科学技術大学院大(石川県能美市)の金子達雄准教授と岡島麻衣子研究員(熊本市出身)らの研究グループが、スイゼンジノリから、一グラムで五〜 六リットルの水を吸収する全く新しい高分子物質を発見した。吸水力が高いことで知られるヒアルロン酸の数倍の能力があり、保湿力の高い化粧品などへの活用 が期待される。

 糖の分子が鎖のように連結した多糖類の一種で「自然界では過去に報告例のない史上最大の分子」(金子准教授)。サクランと名付けた。

 吸水力は、純水で自重の六千百倍、体液に似せた生理食塩水では二千七百倍に達した。ヒアルロン酸と比べると、純水で五倍、生理食塩水で十倍以上 の能力。肌表面は汗などに覆われているため、生理食塩水で能力低下が大きいヒアルロン酸より、化粧品としての保湿力は格段に優れている。

 サクランは分解して自然に戻ることから、肌に優しく環境汚染の心配もないという。吸水力を生かした商品としては、傷口を覆って保湿する医療用具、食品添加物などへの利用も期待できる。

 また、インジウムなどの希少金属が付着するとゼリー状に固まることも判明。工場排水や廃液に含まれる希少金属の効率的な回収にも役立つ可能性がある。

 同グループは、スイゼンジノリを「日本固有の貴重なバイオ資源」と位置付け、有効成分を二年前から探す中でサクランを発見した。

 岡島研究員は「産業資源として有望。熊本だけでなく世界に誇るべき財産だ」。スイゼンジノリに詳しい東海大農学部の椛田聖孝(かばた・きよたか)教授は「保全につながる貴重な発見だ」と話している。(久間孝志)



0 件のコメント: