捕鯨文化守れ 地方議会も国会も超党派で一致団結
山口県議会の「日本伝統捕鯨とクジラ食文化を守る議員連盟」の懇親会でクジラ料理を食べる議員ら=3日、山口市
捕鯨とゆかりの深い山口県や長崎県で、捕鯨を守ることを目的とする議員グループが相次いで設立された。与野党対決で揺れる国会でも、捕鯨問題に限っては自民党から共産党まで一致団結。「鯨を食べる文化を守れ」と気勢を上げる。
山口県議会に「日本伝統捕鯨とクジラ食文化を守る議員連盟」が3日発足した。自民から共産、無所属も含め49人の県議全員が名を連ねる。
会長に就いた松永卓副議長(自民)は「世界中で調査捕鯨、日本へのバッシングが大きな波となっている。こうした時期に議連が立ち上がることの意義は深い」と設立総会であいさつした。
県内にはかつて商業捕鯨の基地が置かれ、現在も調査捕鯨船団が出港する下関市がある。長門市には江戸〜明治期に伝統的な捕鯨が行われていた歴史がある。下関市議会に議員連盟が昨年12月にできたのを受けて、有志が「県議会でも」と呼びかけた。
鯨肉を採り入れた学校給食推進や「捕鯨文化」の継承を目指す。議連幹事長の大西倉雄県議(自民)は「世界的に食糧難が進んだとき、鯨肉は非常に重要になる。捕鯨の必要性を広く訴えていきたい」と意気込む。
下関市の議連は38人の市議のうち27人が参加。「くじら文化を守ることを通じ、下関市の活性化をはかる」ことが目的だ。市民団体の「下関くじら食文化 を守る会」の呼びかけを機に発足した。同会の和仁皓明(わに・こうめい)会長は「くじら文化の普及拡大のため、議会のバックアップは非常に重要」と期待を かける。
鯨肉消費量が全国トップクラスの長崎県でも今年3月、県議会の自民党系会派内に「クジラ文化を守る懇話会」ができた。懇話会幹事長の黒田成彦県議 は「国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退も視野に入れ、商業捕鯨を再開するよう国に求める意見書を県議会で採択することも検討したい」と鼻息が荒い。
世界的には賛否が分かれている捕鯨だが、国内の主な政治勢力からは、捕鯨反対はほとんど聞こえてこない。
参議院で戦後初の首相問責決議が可決された6月11日、国会そばの憲政記念館に与野党国会議員約60人が集まり、「捕鯨の伝統と食文化を守る会」が開かれた。
自民、公明、民主、共産、社民の与野党5党の議員があいさつに立ち、チリで開催のIWC総会に向かう政府代表団を激励。鯨料理に舌鼓を打った。
与野党対立はどこへやら。民主党の捕鯨対策議員協議会会長を務める小平忠正衆院議員は「人間、食べていればけんかはしない。ホエールウオッチングとホエールイーティング(鯨食)は両立する」と話した。(島津洋一郎)
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