宇土市宮庄町の轟貝塚の出土品から発見された石笛(いわぶえ)が、縄文時代では西日本で初めて確認されたものであることが十日、分かった。宇土市教委に よると、縄文時代の石笛は全国的にも数例しか確認されておらず、日本の音楽史や民俗史の観点から重要な発見という。 慶応大考古学研究室が一九六六年に発掘した轟貝塚出土資料の中から、同市教委が〇一年、特異な石製品を発見。人工的に穴が開けられるなど形態から石笛と判断し、資料的価値を調べていた。 縄文時代の石笛は青森市三内丸山遺跡など東北地方を中心に六例出土しているのみ。縄文時代の習俗を考える上で、資料的価値が高いとされる。西日本でも以前に石笛出土の報告があったが、人工的に手が加えられていないなど否定的な見解が示されていた。 石笛は黒色石灰岩で長さ六センチ、幅二・九センチ、厚さ一・六センチ、重さ四十四グラム。筒状の長方形で、上部の平面に穴が開けられている。筒状の両側を指で押さえ、上部の穴から息を吹き込むと「ピー」と甲高い音が出る。 国立歴史民俗博物館の小島美子名誉教授(日本音楽史)は「縄文文化は東日本で発展しており、西日本で文化的な遺物が発見されるのはまれな上、石 笛は非常に珍しい。独特の甲高い音は、能で亡霊を呼び出すときの笛の鋭い音に非常に似ており、『神おろし』の儀式に使われていたのではないか」と推測して いる。(福井一基) |
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