嘘を見破る質問力 [著]荘司雅彦
[掲載]2008年7月20日
- [評者]梶山寿子(ジャーナリスト)
■客観的事実を小出しに
「悪意のある嘘(うそ)」と記憶違いによる「思い違い」を見分けることは難しい。特にビジネスでは「相手もしくは自分自身の『記憶違い』である場合が多 い」と著者は言う。なぜなら「人間の記憶は極めて曖昧(あいまい)で信用できない」ものであり、人は本来、嘘をつくことが苦手だからだ。この大前提が本書 の眼目であろう。
それゆえビジネスの交渉では「あの嘘つきめ! 白黒はっきりさせてやる」と息巻いて感情的に相手を追い詰めるのは得策ではない。信頼関係を傷つけないよう、客観的な事実を小出しにして真実に迫る配慮が必要だという。
副題に「反対尋問の手法に学ぶ」とあるように、著者の本業は弁護士。『最短で結果が出る超勉強法』などの著作で知られるが、今 回は弁護士の面目躍如といったところ。真実を語らせるため「想定できる逃げ道を塞(ふさ)いでから、決定的な証拠を突きつける」法や、相槌(あいづち)を 打たず、じっと目を見てプレッシャーを与える策は役に立ちそう。私生活でのトラブル解決にもページを割いているが、残念なのは正真正銘の嘘つきに対処する 法があまり書かれていないこと。詐欺師まがいの輩(やから)に泣かされた経験があるだけに、その点は物足りなさを感じた。また「女性は男性より嘘が上手」 とあるが、男は女より嘘を見破るのが下手(女は男の嘘をたやすく見抜く)なだけではないか。男性諸氏、本書で眼力を磨いてみては。
- 反対尋問の手法に学ぶ 嘘を見破る質問力
著者:荘司 雅彦
出版社:日本実業出版社 価格:¥ 1,575
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