2008年7月20日日曜日

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2008年7月19日 14:18
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「標本名付け会」参加者減る 熊本博物館
昨年開かれた自由研究相談会(採集標本名付け会)。参加者の減少が続いている=熊本市の熊本博物館
昨年開かれた自由研究相談会(採集標本名付け会)。参加者の減少が続いている=熊本市の熊本博物館
 植物や昆虫の標本作りは時代遅れ!?−子どもたちの自由研究をサポートしようと、熊本市立熊本博物館(同市古京町)が毎年夏休みに開いている「採集標本 名付け会」の参加者が減っている。子どもたちが野山へ出る機会が少なくなっているほか、標本にするため命を奪うことが敬遠されているという。だが、専門家 は「自然に飛び込み、命の尊さを肌で感じてこそ、自然を守ろうという心が育つのに」と危機感を募らせている。

 名付け会は、植物や昆虫、貝などの専門家が、子どもたちが持ち込んだ標本を鑑定する。今年で五十三回目。夏休み終盤の恒例行事として四十人前後が参加してきたが、近年、植物分野を中心に減少が目立ってきた。

 熊本記念植物採集会の今江正知会長(78)は「親や教師が、自然に親しんだ経験が少ない世代。けがなどのトラブルに過敏になっている」と指摘。 「体験よりも知識を身に付けることが優先される今の教育も問題。『これは何だろう』と考え、調べる過程が大切なのに」と嘆く。教師に知識がないため、宿題 として提出された標本を評価できないケースもあるという。

 同博物館は二〇〇三年、名付け会を「自由研究相談会」に改称し、標本だけが対象というイメージを刷新。考古学や天文学なども対象に加えたほか、リポートの書き方まで指導するようにした。さらに、夏休み中盤に植物や昆虫の採集会を実施するなど、てこ入れに努めた。

 その結果、同年は四十人に回復したものの、効果は一時的。昨年は過去最低の十人にまで減ってしまった。

 「虫を実際に手でいじり回さなければ分からないことがある。殺してしまったとしても、得られるものは多い。自然の仕組み、奥深さに五感で触れなければ、本当に自然を大切にしようという気持ちは芽生えない」と同博物館の清水稔学芸員(37)。

 今江会長も「よほどの希少種でない限り採集しても問題にはならない。夏休みは絶好の機会なので、子どもたちは、もっと自然に飛び出してほしい」と話している。(久間孝志)

 ▽今年の会は八月二十三日。問い合わせは熊本博物館TEL096(324)3500。


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