2008年5月15日木曜日

asahi shohyo 書評

B型自分の説明書 [著]Jamais Jamais

[掲載]2008年05月11日
[評者]瀧井朝世(ライター)

 「あなたはこんな人間」と、断定されるとムッとする。でも自分はどんな人間か、診断できるならやってみたい。そんなツボを心得て、本書は自分で判 定するチェックシートのスタイル。「基本操作」「外部接続」など、まさに取り扱い説明書のような章立てで、血液型B型の性格的傾向を羅列。「外側から決め つけるのでなく、内側から見つめようという視点です。自己認識、自己肯定がコンセプトであるところが、これまでの血液型の本とは大きく異なる点」と、担当 編集者の壁谷卓さん。

 ユニークなのは項目の並べ方。例えば「大勢でワイワイは好き。」の次に「でも1人が好き。」とあり、誰もがどちらかに当てはまるのでは、と感じるが、この思考順序こそB型なんだとか。「1人は好き。でも大勢が好き」とは微妙に違うわけ。

 昨年9月、自費出版で千部のスタートが今や70万部。今年4月刊行の『A型自分の説明書』もすでに40万部だ。きっかけは山形の書店、TENDO 八文字屋。書店員が気に入り、目立つ場所に置いたところ飛ぶように売れた。その情報が伝わり仙台や名古屋の書店も宣伝を開始、地方先行のヒット作に。

 読者層は20〜30代女性がメーン、やはりB型が多い。仲間と読んだり、当てはまる項目に印を入れ「これが私の説明書です」と人に贈ったりと、コ ミュニケーションツールとして楽しむ読者が多い。さらになんと、「B型の夫が分からず苛(いら)立っていたが、本書で離婚の危機を乗り越えた」という声 も!

 著者名の読みは「じゃめじゃめ」。正体不明のイメージにしようと、歌劇「カルメン」のアリアの歌詞から選んだという。目下、O型、AB型版を検討中だ。

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 18刷70万部


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