2008年5月22日木曜日

asahi history Choshu han Choshuho

幕末に「渡英」の長州砲、萩に140年ぶり里帰りへ

2008年05月22日01時25分

 幕末の1864(元治元)年、英・仏・オランダ・米の四国連合艦隊に長州藩が敗れた下関戦争の戦利品としてイギリスが持ち帰った長州砲1門が、6月下旬 にも製造された山口県萩市に里帰りする見通しとなった。明治維新140年記念事業の一環として萩市が企画したもので、1年間の貸与を受けて萩博物館に展示 する。所蔵するイギリス王立大砲博物館はすでに荷造りを終え、今月中に船積みする方向で手続きを進めているという。

写真

イギリス王立大砲博物館に展示されている長州砲=萩市提供

 藩の鋳物師(いもじ)の郡司喜平治が、1844年に萩・松本の郡司鋳造所で作った荻野流一貫目青銅砲(砲身長185.9センチ、口径8.8セン チ、重さ1トン)の一つ。伝統的な和式大砲で、一貫目玉(3.75キロ)を発射できる。戦争に備えて関門海峡の下関側に配置されたが、敗戦で根こそぎ持ち 去られるか廃棄された。

 フランス軍が持ち帰った砲はその後、下関市立長府博物館に長期貸与、展示されているが、イギリス軍が持ち帰った砲はロンドン郊外の大砲博物館で展示されてきた。萩市民の間から里帰りを望む声が上がり、市が外務省を通じて交渉、今年に入って話がまとまった。

 萩市側は、受け入れ団体として長州砲里帰り実行委員会(会長、野村興児市長)を結成。最大400万円かかる費用は、観光客らの寄付で街づくりを行っているワンコイントラスト委員会に助成を申請している。

 萩市は「下関戦争の敗戦は明治維新史上の大きなターニングポイント。その大砲が地元に帰ることは全国的な話題になる」として、観光客増にも期待している。




0 件のコメント: