2008年5月8日木曜日

asahi shohyo 書評

「オタクはすでに死んでいる」 岡田斗司夫さん

[掲載]2008年05月04日
[文・写真]住吉琢二

■貴族だったはずが…

 アニメやマンガをはじめ、今や海外でも認知されるようになった日本の「オタク文化」。その擁護者であるオタク評論の第一人者、岡田斗司夫(おか だ・としお)さんが、オタクにとって衝撃的ともいえる表題の本を出した。「自己否定だという反論から、その通りという意見まで賛否両論の声が多数。でもこ の本は、オタクの世界のことだけを書いたとは思わないで下さい」

写真岡田斗司夫さん(49)

 80年代に、アニメやゲームなどに熱中する若者の呼称として登場したオタク。「根暗」など一時の負の イメージを変えようと、SFマニアでもあった岡田さんは、オタクに関する著作を発表し、東大で「オタク文化論」ゼミを開くなどその地位向上に努めてきた。 そんなオタクの教祖が、なぜ"オタク死亡宣告"を?

 きっかけは最近のオタクの若者に抱く違和感だという。「新製品の発売を待つだけで楽に快楽を得ようとし、自分の好きなジャンルから少しでも外れると関心がない。消費するばかりの存在。かつてオタクが共有した価値観は失われたのです」

 岡田さん世代のオタクは、世間の多数派とは違う「好きなこと」を自分で掘り起こし、世間の目に対抗する知性と精神力を備え、社会人生活も営んでいた。実は強い自負心と社会性を持つ「貴族」だったのだと。

 その変容の理由は「社会全体の変質にある」という。「経済成長と勤勉な国民性のもとで咲いた花がオタク。経済が行き詰まると皆が大人になりたがらず、自分の気持ちが何より大事な私(わたし)至上主義となり日本は変わった。本書は日本人論でもある」

 昨年は自身のダイエットをつづった新書が50万部の大ヒット。オタク趣味や評論は続けるのかとの問いには、「オタク大陸は消え、評論も意味を失ったが、文化(作品)は残った。今後は一人の趣味人として楽しみます」。

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