2008年5月22日木曜日

asahi japanese literature Genji monogatari emaki Hikarugenji Kiritsubo

重文級「源氏物語絵巻」発見 「桐壺」3巻

2008年05月21日17時01分

 17世紀に制作された「源氏物語絵巻」の巻頭部分が見つかり、名古屋市東区の同市蓬左(ほうさ)文庫で21日に初公開された。光源氏の生誕から始まる第 一帖(じょう)「桐壺」の3巻で、一連の作品と考えられている第六帖「末摘花(上巻)」(大津市・石山寺蔵)は、重要文化財に指定されている。

写真

初公開された源氏物語絵巻「桐壺」の一場面

 今回見つかった「桐壺」は3巻で15場面が描かれており、1巻の長さは約12〜15メートル。絵の作者は定かではないが、物語の詞書(ことばがき)は関白だった公家の九条幸家らが書いている。

 個人の所有者が蓬左文庫に隣接する徳川美術館に持ち込み、存在が分かった。同館の学芸員が調べた結果、絵の構図や詞書の装飾などの特徴から、17世紀に制作された源氏物語絵巻の一部と判明。ほかに計10巻と断簡の存在が知られている。

 源氏物語絵巻は、徳川美術館などが所蔵する平安時代の国宝を始め、これまで繰り返し描かれてきた。

 同館の四辻(よつつじ)秀紀副館長は「ほかの源氏物語絵巻は名場面集がほとんどだが、この絵巻は物語全文を省略なしで記し、多数の絵で構成してい る。国家的なプロジェクトだったのだろう。巻頭が見つかったことで今後研究が進むはずだ」と話す。展示は7月21日まで。(西田健作)




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