2008年4月15日火曜日

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2008年4月15日 06:40
熊本日日新聞 くまにちコムのTopへ戻る
カキで有害物質浄化 全国初の技術開発
 熊本大大学院自然科学研究科の中田晴彦准教授(39)=環境化学=らが、貝のカキを使って、ポリ塩化ビフェニール(PCB)など水中の有害物質を浄化す る技術を開発した。生きたカキにいったん有害物質を取り込ませて引き揚げ、排出させて回収する方法で、水俣病発生の仕組みとして知られる「生物濃縮」を逆 利用した。自然界では分解されにくいPCBを貝類を用いて回収する技術は全国初で、六月に神戸市で開かれる環境化学討論会で発表する。

 二〇〇〇年八月、大牟田川(大牟田市)で環境基準の三百五十倍のダイオキシンが検出されたことが表面化。中田准教授らが川底の泥を調べた結果、 ダイオキシンと構造が似て強い毒性を持つPCBが、普通の河川の五〜十倍、発がん性が指摘されている多環芳香族炭化水素(PAH)も高濃度だったことが判 明、自生していたカキの生物濃縮に着目した。

 中田准教授らは〇六年十月、河口から約二キロ上流の汽水域で実験。カキ八十個を沈めて四週間飼育し、泥の粒子に混じって水中を漂う有害物質を体内に蓄積させた。引き揚げたカキはきれいな海水の中でさらに四週間飼育。有害物質をどれだけ蓄積、排出できるかを調べた。

 その結果、カキのPCB濃度は三・七倍(一六ppb)、PAH濃度は一六・三倍(三一〇ppb)に上昇。海水に戻すと、PCBとPAH濃度はいずれも最初と同程度まで低下した。

 データを基にカキ四千個を四週間飼育したと仮定、大牟田川から実際に除去する量を試算したところ、PCB一・〇〜一・二ミリグラム、PAH一 六・四〜一七・〇ミリグラムだった。PCBの場合、大牟田川の泥の表面二・三平方メートル分を普通河川の濃度まで下げる量に相当した。

 中田准教授は「今後、大牟田川の汚染が実際にどれだけ低下するか確認したい。有明海の化学汚染低減に有効な新技術に発展する可能性がある」としている。(久間孝志)



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