福岡で出土の鋳型と香川の巴形銅器、ぴったり一致
2008年04月18日08時00分
九州大学埋蔵文化財調査室は17日、福岡県の同大敷地から出土した弥生時代後期(2世紀ごろ)の巴(ともえ)形銅器の鋳型と、香川県の遺跡から出土した 巴形銅器3点が一致したと発表した。弥生時代の青銅器で、銅鐸(どうたく)以外で鋳型と製品が完全に一致したのは初めてという。
脚の曲がり具合などが一致した巴形銅器(手前)。後ろで手に持たれている白い石が鋳型=九大提供 |
巴形銅器は複数の突起がある青銅器で、飾り金具として使われたとされる。
鋳型は98年に、福岡県春日市と大野城市にまたがる同大筑紫地区遺跡群から出土。石英長石斑岩製で縦6.4センチ、横7.4センチの方形状で全体の4分 の1が残っていた。一方、巴形銅器は1911年に香川県さぬき市の森広遺跡から出土した3点で、東京国立博物館に収蔵されていた。
同調査室によると今年1月、鋳型と巴形銅器を重ね合わせたところ、巴形の脚間の幅や曲がり具合、脚裏面の中心線などが完全に一致。3点がこの鋳型から製造されたことが確認された。このことから、少なくとも3回は同じ鋳型での鋳造が可能ということが明らかになった。
調査にあたった田尻義了・学術研究員は「弥生時代の青銅器生産と流通の一端が解明された。北部九州と瀬戸内地域との、当時の政治・経済のネットワークを考える貴重な資料となる」と話している。
0 件のコメント:
コメントを投稿