2008年4月25日金曜日

asahi archeology history oldest Sogana in Imizu Toyama

最古級の草仮名墨書土器が出土、和歌練習か 富山・射水

2008年04月24日10時59分

 富山県射水市一条の「赤田1(ローマ数字の1)遺跡」の溝から、9世紀後半(平安時代前期)の酒杯とみられる最古級の草仮名(そうがな)墨書土器が出土 したと、同市教委が23日発表した。草仮名は酒杯の外側に墨で書かれ、和歌を詠む際に筆慣らしに書いたものらしい。草仮名の成立期に相当する最古級の資料 で、溝の遺構も貴族らが歌を詠んで楽しんだ「曲水の宴」の場だった可能性が高いという。

写真

射水市の赤田1(ローマ数字の1)遺跡から出土した平安時代前期の草仮名墨書土器=射水市の市竹内源造記念館

写真

土器の裏面に墨で書かれた草仮名を再現した資料

 草仮名は、万葉仮名から平仮名への移行期の仮名文字。土器は02年4月、発掘調査中に見つかった長さ約130メートルの溝(上幅6〜8メートル、最深 1.5メートル)の下層50〜60センチから完全な形で出土した。祭祀(さいし)具などの木製品や宴の器とされる緑釉(りょくゆう)の皿、大量の土師器 (はじき)の杯も出土した。

 解読した鈴木景二・富山大教授(日本古代史)によると、草仮名を記した墨書土器は直径13.1センチ、高さ2.4センチの皿状の土師器。器の外側に「佐佐川幾」「奈尓波」「乃見」「比川川」「比尓」などの文字が書いてあった。

 「佐佐川幾」は「ささつき」と読め、酒杯の意の可能性がある。「奈尓波」は「なには」で、古代の手習いの歌として多くの出土例がある「難波津(なにわづ)歌」の書き出しとみられる。

 鈴木教授は「今回発見の草仮名は9世紀後半のもので、知られている草仮名の中でも成立期のもの。仮名を続けて書く『連綿』も認められ、仮 名表記の歴史を考えるうえで貴重。古代の地方で『曲水の宴』を国司ら貴族らが催したことを物語る遺構として極めて重要。草仮名墨書土器は、曲水の宴での習 作の現物資料として最古かつ唯一の資料の可能性が高い」としている。

 同市教委は、草仮名墨書土器を25日〜5月25日、市新湊博物館(同市鏡宮)で公開。同11日午後2時から、鈴木教授が解説する。火曜休館。




0 件のコメント: