2008年4月19日土曜日

kumanichi archeology history Kikuchi Jo castle

2008年4月18日 06:42
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崖上に新たな土塁 山鹿市の鞠智城
堀切門近くの崖上で見つかった土塁の痕跡について説明する学芸員。版築工法独特の地層状のしま模様も確認できる=山鹿市の鞠智城
堀切門近くの崖上で見つかった土塁の痕跡について説明する学芸員。版築工法独特の地層状のしま模様も確認できる=山鹿市の鞠智城
 国指定史跡の古代山城・鞠智城(山鹿市菊鹿町)の調査をしている鞠智城・温故創生館は十七日、城の周囲の崖(がけ)の上に新たな土塁の痕跡が出土したと 発表した。同館は「構造のなぞ解明につながる貴重な発見。国営公園化へ弾みを付けたい」としている。

 見つかったのは、同城南側にある堀切門西方の切り立った崖(高さ約三十メートル)の上。崖上の外側を一部削り、土や砂で盛り土した痕跡が出た。 高さは不明だが、木枠を置いて「粘土」と「砂」を交互に敷き、上から突き固める「版築」(はんちく)工法で造られ、断面に地層状のしま模様も確認できた。

 約五百メートル東側の池ノ尾門付近の崖上にも同様の跡があり、同館は「五百メートルにわたり土塁があったのは明らか。さらに東に伸びる崖線すべてに土塁を設けていたのでは」と推測している。

 これまで同城は周囲三・五キロのうち、北西側約一キロを土塁で覆い、残りは天然の崖線で防備を固めていたとみられていた。だが今回の調査で、他の古代山城の大野城(福岡県)や基肄城(佐賀県)と同じく、全周を土塁で囲っていた可能性が高まった。

 このほか城内北側の貯水池跡から、版築工法による堤跡も新たに見つかった。

 同城の管理・調査責任者の大田幸博・県立装飾古墳館長は「鞠智城が典型的な古代山城で、極めて貴重な史跡だとはっきりした。古代山城の中で、貯 水池跡が判明しているのも鞠智城だけ。国営化により、さらに深く詳しい調査ができれば、素晴らしい発見につながるのではないか」と期待している。(稲田稔 丈)



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